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<古代ローマのワインの伝統を今に伝える造り手>

ローマから南東に60㎞程の丘陵地帯にコーリ(Cori)の町があります。 古代ローマ時代の遺跡や歴史ある建物が点在し、古くから農業とぶどう栽培が盛んに行われていたこの町はまた、ベッローネとネロ・ブオーノという2つの固有のぶどうの栽培によって、イタリアで最もユニークなワイン産地の1つとなっています。

チンチンナートはこのコーリのぶどう栽培農家たちによって、1947年に設立された協同組合です。今日では組合員は130名を数え、コーリとその周辺に所有する550haの地所の半分がぶどう畑で、その内110haの畑は有機認証を取得しており、今後も拡大される予定です。

チンチンナートの名前は古代ローマの執政官、ルキウス・クィンクトゥス・キンキンナトゥスにちなんで名付けられました。敵に包囲されたローマの町を兵を率いて窮地から救いながら、そのすぐ後には自らの地所に戻り畑を耕す日々を送ったという彼の逸話は現在も語り継がれており、チンチンナートもこの精神を受け継いで発展を続けて来ました。

コーリ・ロッソとコーリ・ビアンコがDOCに認定された1970年代からチンチンナートは急成長を遂げ、さらに1990年代に入ると品質の改善とワイナリーのさらなる発展を目的として、挑戦的なプロジェクトに多大な人的資源と経済的資源を投資して来ました。

ベッローネとネロ・ブオーノという、古くからこの地域で栽培されてきた2つのぶどうとチェザネーゼにフォーカスし、畑の有機栽培への転換、畑での作業手順の綿密な定義、収穫カレンダーの活用、緻密な醸造プロセスの導入・管理など、様々な生産プログラムが採用され、ワインの品質は飛躍的に向上しました。

「有機栽培を上手く行うには、細部のコントロールが重要です」チンチンナートのマーケティング・マネージャー、ジョヴァンナ・トリソリオは説明します。「私たちのワインとその生産プログラムは、人々に美味しいワインを届けるために、その過程において常に専門的な注意を払って来ました。綿密にプログラムが組まれた畑での作業、原材料と環境を尊重したセラーでの醸造を経て、多くのレストランのテーブルの上ではっきりと認められた証として人々にサービスされる、それがチンチンナートのワインなのです」

彼らはまた、太陽光発電システムを全面的に導入し、また地域内の配送には天然ガスで走る車両を使用しています。チンチンナートのこうした取り組みは、特定のプロセスにこだわるのではなく、可能な限り環境への影響を少なくする、トータルで持続可能性を追求するもので、彼らの成り立ちとこの地域における彼らの役割を調和させ、ワイン愛好家たちが発見するに値する、土着ぶどうの新たな魅力を提供する可能性を秘めています。

2021年、チンチンナートは古代ローマのワイン造りを再現するプロジェクトに参加し、ローマのコロッセオを見下ろすパラティーノの丘の小さな区画にベッローネの苗木を植えました。2025年には、このぶどうから古代の製法に則って造られたワインがリリースされる予定です。

コーリの歴史と伝統、そして土着のぶどうを尊重しつつ、新たな挑戦を続けるチンチンナートは、ローマとコーリを結ぶ地域でますます重要な存在となりつつあります。